文責:布袋善久,布袋裕美
お子さんの不正咬合、「様子を見ましょう」で良いのでしょうか?
お子さんの歯並びが心配になった時、「このまま様子を見ましょう」で良いのでしょうか? 本当に矯正治療を始めなくて良いのでしょうか?
もし、様子を見るなら、どのような理由でいつまで様子を見るのかが重要と考えます。
お子さんの矯正治療については、「早ければ早いほど良い、5歳から」あるいは「大人の歯にすべて交換してからが良い」など、正反対の話しを父兄の方から耳にします。父兄の方も迷われているようです。はたして、どちらが正しいのでしょうか? 5歳は極端ですが、どちらも正しく、ケースバイケースと言って良いでしょうか。ここではその両方をご説明したいと思います。
お子さんの矯正治療の場合、小学校の半ばまでに矯正治療を開始した方が良いケースがあります。
歯の並び方だけの問題ななら、11~13歳以降で、間に合うことが多いと思います。そう考えると、「早期治療」をあえて行う場合は、その時期にしかできない治療がある、その時期を逃すと治療が困難になる、あるいはその時期を逃すと「悪化」が予想されるなどのケースでしょうか。ここでは、その幾つかの例を挙げてお話いたします。
逆説的な表現になりますが、「早い治療開始がベスト」とも言えません。
不正咬合の中で、骨格的不正が少ないケース、永久歯交換後の歯列拡大でも十分に配列可能と予想される場合などです。それらの場合は「12歳臼歯(第二大臼歯)が萌出を開始する11~13歳頃が適齢といえます。これも、そろそろ治療が開始できますよという適齢であって、必ず治療を始めなければならない年齢ではありません。また、中学受験などの予定があれば、進学後に開始されても良いと思います。これもいくつかのケースをご覧いただきます。
矯正治療は、「長い」というイメージで語られることがあります。その「長い」ですが、骨格的な治療が必要な場合、どうしても治療期間が長くなり、5年を超えることもしばしばです。ただしケースによっては、適切な時期に矯正治療を開始することで、期間を短縮することも可能です。
お子さんに、「早期治療」が必要かどうかは、ご家庭では、判断の難しい問題だと思います。 折角、矯正治療を受けるのに、時期を逃したばかりに、抜歯治療になったり、不十分な結果になるのは、非常に残念なことだと思います。
そのため、適切な時期に矯正治療を開始するために、8~9歳頃に、一度矯正専門医院を受診され、その後は1年に1~2度程度の経過観察を受けることをお勧めいたします。